マイクロダイナミクスグループの歴史

沿 革

1933年〜 大阪帝国大学工学部機械工学科第二講座
1948年〜 大阪大学工学部機械工学科第二講座
1986年〜 大阪大学工学部機械工学科固体力学講座
1997年〜 大阪大学大学院工学研究科
 機械システム工学専攻機械現象学大講座
大阪大学大学院工学研究科
 知能・機能創成工学専攻マイクロ動力学講座
2005年〜 大阪大学大学院工学研究科
 知能・機能創成工学専攻先導的融合工学講座
 マイクロダイナミクスグループ

第二講座・固体力学講座・マイクロ動力学講座からマイクロダイナミクスグループへ

(``機械工学科・固体力学講座''、大阪大学工学部創始百年史、1997年8月、 pp.12-13、北川 浩 教授 執筆分より)

本講座は材料力学の教育と研究を行うことを目的として、 1933年大阪帝国大学工学部の創設と同時に機械工学科第二講座として設置され、 助教授中原益治郎が担当として着任した。中原は1934年教授となり、 1943年産業科学研究所に配置換となるまでの間、 塑性力学の分野で多くの独創的な研究を行った、とくに、 鉛の機械的性質の研究を実施して金属塑性に関する多数の論文を発表し、 塑性力学の理論体系が確立されていなかった当時、 新しい塑性理論を展開してバイオニア的な研究成果をあげ、 わが国の塑性力学発展の礎を築いた。

中原が海外に留学した一時期、 助教授 植松時雄と同 小野正敏が本講座を分担担当した。 中原の転出後、教授 南大路謙一、同 植松が分担し、 助教授 小野正敏、同 根来祥三郎、同 大久保 肇の補佐のもと講義、 研究ならびに指導にあたる期間を経て、1947年、 工業力学科から転任してきた教授 太田友弥が担当となった。

太田は、助教授 林 卓夫、同 濱田 實の補佐のもとで、 本講座を担当する以前に所属していた造船学科、 航空学科において行っていた薄板構造物の弾性力学的諸間題、 とくに応力集中に関する研究を大きく発展させ、等方性板、 直交異方性板の2次元問題、 高速薄肉回転体や鉄道車輪の強度等の広範囲な各種軽量構造物の 弾・塑性解析に関する多数の研究を行った。

1963年、太田の停年退官後、同年 教授となった濱田が講座担当を継承した。 濱田は、太田の研究を発展させて各種殻構造物の強度、安定間題の研究を進めた。 とくに当時わが国において導入されはじめたコンピュータを いち早く研究手段として採り入れて、 数値解析法により構造解析の分野で多数の研究業績をあげ、 今日、計算力学と称される分野を切り開くとともに、 構造体の幾何学的ならびに材料的非線形間題を解析するための方法論の 確立に大きな貢献をした。また有限ひずみ塑性変形の解析理論に関して行った 先駆的な研究を発展させて、塑性加工過程の解析、 有限変形のモアレ法による計測手法、 塑性変形局所化を伴う不安定問題の解析などにも顕著な研究成果をあげた。 この時期、助教授 北川 浩をはじめとする講座の教職員と、 ようやく充実してきた大学院博士・修士課程学生が研究を補佐した。

1986年、電子制御機械工学科の発足に伴う組織変更に際して、 機械工学科固体力学講座と名称を変更し、 1988年、濱田が阿南高等工業専門学校長に転出後、 同年 教授となった北川 浩が本講座の担当を引継ぎ、 現在に至っている。この間、教育面では、 主要講義科目の名称は材料強弱学、弾性力学、材料力学、 固体力学と変遷してきたが、 一貫して機械設計の基礎としての固体の力学的取り扱いの分野を担当してきた。 それとともに、 その間に進展した力学理論の成果と解析手段として 重要な位置を占めることになったコンピュータの利用技法を採り入れ、 塑性力学、連続体力学ならびに計算力学の分野で、 全国に先駆けた斬新な講義が行われた。

その後、助教授 仲町英治、学内講師 澁谷陽二、講師 中谷彰宏の協力の下で、 極限的状態における材料・構造物の不安定挙動や加工・製造時の 材料の変形挙動などの非線形性の強い力学現象を、 コンピュータ・シミュレーションやモデル実験により追求することを通じて、 物質系をマクロ的な構造体として力学的に取り扱うことによって 材料の強さを的確に評価し、 新しい構造を創成するための知見獲得をめざした研究が活発に一進められた。 それにより弾塑性体の非線形解析を行うための厳密な基礎理論と それに基づく有限要素解析手法の確立に関する先駆的な研究成果、 それを用いた薄板材の塑性加工特性評価、塑性流動の局所化に伴って 材料中に生じる損傷の検討、 表面・界面の力学的不安定現象の解明などの研究成果があげられた。

こうした成果を発展させて・現象論的力学解析により得られる結果を 材料の微視的構造(原子・分子スケールの構造)の動力学的検討により 獲得される知見と結びつけ、 ミクロ事象とマクロ現象の間の力学的相互作用を追究することを軸として、 破壊強度の原子レベル構造のダイナミックスに基づく研究、 界面の構造と強度・機能特性の電子論に基づく評価、 微細材料品の位相幾何学的特性とマクロ特性との関わりの検討、 脆性−延性遷移現象の原子構造論的検討、 メゾスケール力学事象を取り扱うための数理モデルの検討、 極細線、極薄膜の力学・強度特性の研究、 結晶塑性体に現れる局所変形解析と集合組織形成、 加工限界特性の評価などの研究が進められている。

さらに、マイクロからナノスケールヘと 著しく微細化が進行する昨今の構造体や機器の開発、 設計ならびに製造技術に真に資することができる材料力学の確立に向けて、 上記の材料の強度・機能評価のためのミクロ事象の粗視化/マクロ現象論の 実体化の系統的方法論の検討とともに、 ミクロ−マクロ間の相互干渉関係を力学的に追究する方法論の展開を進め、 材料と機械(構造)の間の慣用的な階層構造を逆転させる視点、 材料とはシステム化された機械であると位置づける視点を 技術的に意味あるものとするための研究が開始されている。

1997年度に大学院重点化に伴う組織改革が行われると、本講座が担当してき た教育と研究活動は、機械システム工学専攻機械現象学大講座と、大学院専任専 攻である知能・機能創成工学専攻マイクロ動力学講座に引き継がれることになっ ている。そして機械現象学大講座においては 伝統的な機械工学における材料力学・構造力学分野の 教育・研究活動が、マイクロ動力学講座では、 ミクロ構造を究明することを通じて得られる知見をベースとして 人工物創成のための知識体系を構築する、 新しい分野を切り開く活動が行われる予定である。 2005年度、2004年度からの大阪大学の国立大学法人への移行に関連する改組で、知能・機能創成工学専攻の講座は先導的融合工学講座に統合化され、同専攻は1講座体制となる。それに伴い、マイクロ動力学講座もマイクロダイナミクスグループと名称変更する。

第二講座・固体力学講座・マイクロ動力学講座・マイクロダイナミクスグループ在籍教官一覧

(大阪大学工学部創始百年史 p.13 に最近の移動を追加)
中原益治郎  1933助教授、1934教授、 1943産業科学研究所に配置換
小野 正敏  1934助教授
根来祥三郎  1938助教授、1944九州帝国大学工学部教授に転出
大久保 肇  1941助敦授、1944東北帝国大学工学部教授に転出
太田 友弥  1947教授、 1963停年退官
高木 四郎  19??助手、 1963中央実験室(現材料構造実験室)に配置換
井上  豊  1950助手、 1992停年退官
林  卓夫  1952助教授、1952神戸商船大学助教授に転出
進藤 明夫  19??助手、 1958神戸大学工学部助教授に転出
濱田  實  1955助教授、1963教授、 1988退官、阿南高等工業専門学校長として転出
水原 政雄  1964助手、 1965毎日新聞社(株)に転出
梶  吉宏  1965助手、 1966ヤマハ楽器(株)に転出
橋本  裕  1966助手、 1968川崎重工業(株)に転出
北川  浩  1968助教授、1988教授、2004定年退官、大阪大学名誉教授、同志社大学工学部教授
中西  博  1970助手、 1972京都工芸繊維大学工芸学部助教授に転出
間瀬 正隆  1972助手、 1973三菱重工業(株)に転出
田中 正隆  1973助手、 1983信州大学助教授に転出
仲町 英治  1989助教授、1995大阪工業大学教授に転出
澁谷 陽二  1988助手、 1995神戸大学工学部助教授に転出、 現 大阪大学大学院工学研究科教授
中谷 彰宏  1993助手、 1995講師、 1997助教授、 2004教授
尾方 成信  1995助手、 2000機械システム工学専攻講師に転出、 現 大阪大学大学院基礎工学研究科教授
比嘉 吉一  2000助手、 2004学内講師、 2005沖縄工業高等専門学校助教授に転出
松本 龍介  2003助手、 2003九州工業大学情報工学部助手に転出、現 京都大学大学院工学研究科助教
土井 祐介  2005助手、 2007助教、 2013准教授

濱田研・北川研・中谷研の卒業生一覧

卒業生一覧(1953年卒〜)
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