弾性体の境界値問題

弾性体の境界値問題は,ある与えられた力学的境界条件 (領域表面での応力が規定される)と幾何学的境界条件 (領域表面での変位が規定される)のもとで,3方向の力の釣合 方程式 (equations of equiliblium)と6つのひずみ-変位関係式 (strain - displacement relation)と6つの応力ひずみ関係式(constitutive equation 構成関係式)を全て満たすように,変位(displacement)の3つの成分 \(u, v, w\), ひずみ (strain)の6つの成分 \(\epsilon_x,
\epsilon_y, \epsilon_z, \gamma_{yz}, \gamma_{zx},
\gamma_{xy}\), 応力(stress)の6 つの成分 \(\sigma_x, \sigma_y, \sigma_z, \tau_{yz},
\tau_{zx}, \tau_{xy}\)の合計15個の成分(それらは領域内の任意 の位置の関数)の組を求める問題に帰着される[*].ここで,

  1. (1)材料の均質性と等方性を仮定する.
  2. (2)物体力を無視する.
  3. (3)幾何学的対称性の考慮する.
  4. (4)平面問題(平面応力と平面ひずみ,軸対称問題)として扱う.
  5. (5)薄肉構造(板と殻)の問題として扱う.
などの,簡単化により,解析解を求めることができる場合もある.しかし, なお,境界値問題の大部分が,解析的に解を求めることができない. そこで, もっと一般的な問題の答を知りたい 次のような数値解法により近似解を求める.

それぞれ,差分近似,変分原理,積分定理とそれぞれ全く異なる理論を用いて, 与えられた境界値問題を連立一次方程式に変換する.



Akihiro Nakatani 2001-06-25