二つのベクトル
と
の内積(スカラー積)は,
と表記され,両ベクトルのなす角
によって,
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(10) |
で定義される.
基底ベクトルの内積,
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(11) |
で定義されるは,クロネッカーのデルタ(Kronecker's delta)
と呼ばれる.
とくに,直角座標
(直交デカルト座標の時,
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(12) |
『ポイント』
クロネッカーのデルタに関する以下の事項を確認して,無意識にこ
れらの性質が使えるように練習しておこう.
- 基底ベクトルの内積で定義される.
- その定義から,
なる対称性がある.
- を行列の行列の成分とすれば,その行列は,
単位行列である.
- である.
- が含まれる項に,もし添字が現われた時,その添
字をに置き換えて自ら消えてなくなるはたらきをする.同様
に,が含まれる項に,添字が現われた時,添字
をに置き換えて自ら消えてなくなるはたらきをする(指標の
置き換えの約束).
- 指標の置き換えの約束を使えば,
や,
も容易に理解できるので,
覚えるまでもない.
- また,クロネッカーデルタの性質を利用すると,
あるベクトル
に,基底ベクトル
の内積
は,そのベクトルの成分が取り出せ
る(ベクトル成分取り出しの内積).
Akihiro Nakatani
2001-06-25