コーシーの関係からも明かなように,法線
を持つ面に作用する応力ベクトル
は,
の方向に依存する.したがって,ある面を選べば,その面に対しては,
応力ベクトルが垂直になることが考えられる.このような面を
主面
(principal plane), その法線を主軸
(principal axis),あるいは,法線方向を
主方向(principal direction),
さらに,主面に作用する垂直応力を主応力
(principal stress)とよぶ.
主軸方向の単位ベクトルを
,対応する主応力を と
すると,主面に作用する応力ベクトルは,
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(153) |
となり,垂直応力の成分だけとなる.
一方,このベクトルは,任意の面の応力テンソルによって
コーシーの関係
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(154) |
のように表されるので,
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(155) |
が0でない非自明解を持つためには,
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(156) |
となる.これを展開すると,
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(157) |
ここで,は,
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(158) |
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(159) |
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(160) |
である.ただし,
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(161) |
一方,この関係式の解を
とすると,
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(162) |
なので,解と係数の関係より,
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(163) |
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(164) |
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(165) |
主応力
および,,
は,任意の点の応力の状態を規定するものであり,
座標系のとり方に依存しない,
これらを応力の不変量
(invariant)とよび
とくに,を主不変量
(principal invariant)とよぶ.
Akihiro Nakatani
2001-06-25