区間の低積分で次式のように表わせる
関数が変われば別の値になるような対応関係を考える.
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(563) |
この"関数実数"の対応関係を汎関数
(functional)という.
汎関数は,「関数の関数」であり,はその変数に相当し,
変関数(variable function)と呼ばれる.
数学や物理学における変分問題の例としては,
等周問題(周の長さが一定の曲線で囲まれた領域の面積を最大にする問題)
エネルギー原理,ハミルトンの原理など変分原理と称される問題がある.
ここで汎関数,
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(564) |
の停留値問題を考える.ここで,
とおいている.
境界条件として,
が規定されているとする.
を停留化する関数を と書く.
任意の許容関数(admissible function,
上記の境界条件と必要な微分可能性の条件を満足する関数)
は次のように表わせる.
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(565) |
ここで,
のような Taylor 展開を考え,これを
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(567) |
と表わす.
は変分作用素(変分演算子)であり,
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(568) |
のように作用する.
, は,の第1変分
(first variation),
第2変分(second variation)
と呼ばれる量である.汎関数の停留条件は,
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(569) |
によって与えられる.
を ,
を と書くと,
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(570) |
部分積分すれば,
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(571) |
に関する条件から,第1項は零なので,
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(572) |
は任意に変化できるので,被積分関数が区間に
おいて零になる必要がある(変分学における基本補助定理
)ので,
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(573) |
となる.汎関数の停留問題に対する Euler方程式と呼ばれる.
この過程を要約すると,
となる.
次に,付帯条件,
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(574) |
のもとでの汎関数の停留化を考える.
Lagrangeの未定乗数を導入して,
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(575) |
を定義すると,
となる.ここで,
とおいている. の条件から,
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(577) |
と
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(578) |
が得られる.
Akihiro Nakatani
2001-06-25