2005年12月1日から12月6日にわたって,インドのチェンナイにあるIIT(Indian
Institute of Technology)で開催された国際会議ICCES'05(Internatinaol
Conference on Computational & Experimental Engineering and
Sciences 2005)に参加した.11月30日に関西国際空港より出発し,シンガポー
ルを経由し,同日の夜にホテル到着した.会議には世界各地からの研究者が集
う中,日本からの出席者も多かった.また,初日12月1日午前にはインドの
Abdul Kalam大統領の講演があり,インドの科学技術のめざましい発展の様子
が紹介された.
私は12月3日の午前に,Nanomechanics, Nanostructure Materials, &
Materials by Designのミニシンポジウムの中の,Mechanics of
NanostructuresのセッションのI05にて,発表を行なった(セッションリストは後述).
プログラムでは私と同じセッションにはあと二人の講演者が発表予定だったの
だが,私以外の二人の発表はキャンセルになり,発表者は私一人だけとなった.
会議ではタイトなスケジュールのため,当初のプログラムでは十分な質疑の時
間が確保されない予定であったが,このキャンセルのおかげで,十分な質疑時
間が設けられることになった.私はNi結晶中の欠陥近傍における水素拡散過程
の分子動力学シミュレーションに関する研究の成果について発表した.会場か
らは,設定温度や用いた水素原子どうしの相互作用ポテンシャルの妥当性,お
よび格子欠陥の運動に伴う水素拡散過程への影響などについて質問・コメント
を得ることができ,いずれも帰国後の研究指針に役立つものであった.また会
議の期間を通じて,様々な研究発表を聴くことができた.中でも私の研究と深
く関連した,水素の破壊に対する影響についての講演は非常に興味深く,今後
の研究について大変参考となった.加えて,一週間という長期間に渡り他大学
の先生方と食事などで話す機会にめぐまれ,普段の研究室内とは違った視点か
らの議論をすることができ,今後の研究に対する意欲の更なる向上に繋がった.
さらに,研究それ自体に繋がる部分は勿論であるが,私自身初めての国際会議
への参加であることから,英語による講演や討論を連日聴くことは,非常に有
意義なことであった.
一方で残念であったことは,聴きたかった幾つかの講演が,プログラムに載っ
ているのにキャンセルされてしまったことである.CD-ROMとして配布された講
演論文集にも,全発表分は含まれておらず,非常に残念であった.
日曜日(12月4日)は一切のセッションが無く,先生方と連れだってチェンナイ を歩くことができた.初の海外渡航である私にとって,発表とは違った貴重な 体験をすることができた.インドはこの時期にあっても25℃を超え,さらに開 催期間中はサイクロンに見舞われ湿度が高く,日本の6月のような気候だった. 会場でも,この風土・気候にあわせてか,飲料用の水がタンクやペットボトル で随所に設置してあったことが印象に残った.また,インドの方の英語は単語 間の区切が非常に短く,早口のようで聞き取るのに困難であった.私の発表時 の質疑で,相手の方の英語が厳密に聞き取れず,混乱してしまって正確に返答 することができなかった.発表の会場の外に出てからそのことに気付いたのは 悔やまれる.
なお,ミニシンポジウム''Nanomechanics, Nanostructure Materials, & Materials by Design''のセッションリストは,以下の通りである.
初の海外であり初の国際会議である今回の渡航で得たものは多かった. 今後の研究・勉強などに非常に有益なものであったといえる. 最後に,渡航費の一部を支援していただいた大阪大学工業会. また,初めての海外ということで不慣れな私をサポートしてくださった, 大阪大学の土井祐介博士をはじめとする日本の諸先生方に, この場を借りて謝意を表します.